日本人作曲家
ここ最近日本人作曲家、武満徹、三善晃の作品を演奏する機会があった。両人とも日本音楽史を語る上で欠かせない作曲家であり、特に三善晃は桐朋学園の学長も務めたこともあり教育者としても知られている。
武満作品は戦争で家族が引き裂かれたハワイ日系移民家族の物語を描いたTVドラマの主題歌「波の盆」。三善晃の作品は1970年大阪万博開会式で演奏された「祝典序曲」。
武満作品は現代作品ではなく、合唱曲「死んだ男の残したものは」にも通じるどこかノスタルジックを感じるメロディーや胸を締め付けられるドラマの情景が浮かぶような日本人の琴線に触れるような作品だった。
三善晃の作品は僅か5分程度の中に、万博の開幕に相応しいエネルギッシュかつ日本の伝統を取り入れたリズムが取り込まれた隠れた名曲だ。
作風は全く異なるものの2人の先人の作品を聞いていると戦後の混乱期を乗り越え高度経済成長を遂げた日本とうい国に愛国心というものを凄く感じると同時にどこか冷静に客観的にもっと言うなら皮肉っているような印象を受ける。
私はお二人の生前にお会いする機会はなかったが、戦後の日本音楽史を間違いなく牽引してきたお二人のお話はよく耳にするが、そんなお二人の事を語れる音楽家も少なくなってきているのが事実で、もっと特に三善先生のお話などはもっと聞きたい。そしてその事柄を後世に語り継いでいきたいと思う今日この頃である。