演奏家が衣装を着ること選ぶこと 消費することされること

演奏家の衣装選びはなかなか大変である。歳を重ねるごとに自分に似合った衣装を選ぶのは難しい。またプログラムの内容に影響される。かといってお気に入りの衣装を何年も着回すのも限界がある。(体型の変化で着れなくなることもしばしばだ。)そして探している時には出会わないことの方が多い。
なので割と普段から洋服屋に行く際は何となく意識して衣装を探している自分がいる。今回の2公演で着用させて頂いた衣装ドレスは少し尖った洋服を扱うセレクトショップ「Delta」さんでご紹介頂いたデザイナー植木沙織さんのドレスをレンタルさせて頂いた。初めて彼女のこのドレスを目にした時コレ!と思ったのがこのドレス

エレガントでありちょっとパンクであり、自分の精神と近いものを感じてしまった。勝手に。
植木さんの洋服を作るコンセプトが廃棄される残布や古着をベースにし、再生ポリエステルを使用した通常の服作りよりも何倍もの手間と根気が必要となる工程を植木さん自身が丁寧に仕上げていくという、再現性のない1点物。
植木さんに出会うまで全く自分が普段着ている洋服が大量廃棄物を生み出していることに意識を向けていなかった。サンプル1つを作るのにもハギレがでる。私自身もファストファッションのブランドを好んで着てたりするがファッション業界に限らずあらゆるものが消費されていくこの社会で、自分の中で大事にするものの感覚や、ちょっとした意識を維持していくことは難しいかもしれないが、それを意識して生きなければ気づかないウチに我々は自らが自分を消費していることに気づかないのかもしれない。